メンデルスゾーン 交響曲第4番イ長調「イタリア」

 私がこの曲に出会ったのは高校2年生の秋のことでした。オーケストラ部の定期演奏会で交響曲第3番「スコットランド」を演奏することになりCDを購入したのですが、そのCDに入っていた「イタリア」を聴いた時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。第1楽章冒頭の明るい第1主題に一撃されて心が躍りだし(体も踊りだし)、まだ行ったことのなかったイタリアに、曲から受ける陽気な人々や太陽の光が降り注ぐ街並みといったイメージを思い浮かべて、いつか絶対に演奏したいと強く思ったのでした。

 メンデルスゾーンは、1830年(21歳)の10月から翌年の4月にかけてイタリアを旅行し、ヴェネチア、フィレンツェ、ローマ、ナポリを訪れてこの曲を書き始めました。北ドイツに育った彼にとって、イタリアは、自分の住んでいた町や以前に旅行したイギリス、スコットランドとはまったく違った世界だったのでしょう。メンデルスゾーンがこの旅行で感じたイタリアに対する印象がこの曲のいたるところに凝縮されています。

 南イタリアの青い空や海、白い雲、緑の濃い木々など自然の情景が感じられるような明るい第1楽章に対し、第2楽章はイタリアで見た巡礼たちの行列からヒントを得たともいわれる哀愁をこめた優美な情感を漂わせています。第3楽章は素朴で明るく優雅な旋律による民謡舞曲風で、このまま明るい曲調で続くかと思われる第4楽章ではローマ地方の「サルタレロ」とナポリ地方の「タランテラ」という2つのイタリア民族舞曲が取り入れられ、激しく情熱的な音楽に仕上げられています。

「いつか絶対に演奏したい」‥‥あれから9年。念願かなって「イタリア」を演奏できることになった私は、通勤電車の中で楽譜片手に曲を聴き、自宅ではメロディーに合わせて自分のパートを歌いながら料理をし、あの時の衝撃を伝えられるような演奏を目指して練習する、という「イタリア」三昧の日々を送りました。

 本日はここ世田谷でイタリア気分を十分に味わってください。舞台からイタリアの風をのせて演奏いたします。

(コントラバス Tomorin )