■ ビゼー 交響曲第1番ハ長調

 歌劇「カルメン」や組曲「アルルの女」で親しまれているフランスの作曲家ジョルジュ・ビゼー(1838−1875)は、両親とも音楽家という恵まれた環境に生まれ、わずか10歳でパリ音楽院に入学した天才児でした。

 この交響曲ハ長調は、ビゼーがまだ音楽院在学中の17歳の時、わずか1か月で書き上げた習作です。ビゼーの生前には一度も演奏される機会がなく、ようやく陽の目を見たのは、作曲後80年が経過した1935年のことでした。パリ音楽院の図書館書庫で、この曲の総譜が発見されて初演され、好評を博したのです。

 ビゼーのいわば若書きの交響曲ですが、すでに彼の個性は鮮明で、爽やかでみずみずしさにあふれた魅力的な作品です。けれども美しくてシンプルなこの曲は、いざ演奏するとなると、意外に難しいのです。弦楽器はすべてのパートにわたって緻密なアンサンブルを要求されますし、管楽器には難しいソロが随所に出て来て、一瞬たりとも気を緩めることが出来ません。

 第1楽章 アレグロ・ヴィーヴォ ソナタ形式  いきなり快活な第1主題で始まります。第2主題は木管で演奏される優美な旋律です。展開部は比較的短く、公式通りの再現部をへて、力強いコーダで結ばれます。

 第2楽章 アダージョ 3部形式  8小節の序奏の後、ヴィオラのピチカートにささえられて、オーボエが、息の長い、哀愁をおびた旋律を歌います。実は2本のオーボエが交互に吹いて、長いフレーズを切れ目が分からないように演奏しているのですが……。中間部では、きびきびした旋律が弦楽器でカノン風に奏された後に、オーボエの主旋律が戻り、静かに余韻を残しながら終わります。

 第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ スケルツォ  力強さと軽やかさがみごとに融合したスケルツォです。中間部は、弦でオルガンのような和音が奏せられた後、木管に軽やかな旋律があらわれます。 

 第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ ソナタ形式  短い序奏ののち、第1ヴァイオリンが常動曲のような生き生きとした第1主題を奏します。第2主題も同じく第1ヴァイオリンが歌う美しい旋律です。展開部、再現部を経て、最後は、はつらつとしたコーダで全曲を閉じます。

(オーボエ M)